医療廃棄物の収集・運搬を
担う縁の下の力持ち
エコ事業部 営業 部長
佐藤 直樹(さとう なおき)
医療行為によって発生する廃棄物を収集する
エコ事業部では、病院やクリニック、福祉施設において医療行為によって発生した医療廃棄物の収集・運搬を行っています。医療廃棄物には、手袋やチューブ、ギブス用石膏などの「産業廃棄物」と、血液の付着したガーゼや注射針、ディスポーザブルメスなどの「感染性廃棄物」の2種類があります。これらの取り扱いには、医療機関の所在地域の許可はもちろん、ガイドラインに基づいた知識や経験、対応が必要であり、専門性を問われる業務といえます。
現在は、新潟県全域と富山県の一部の約350施設を対象に、施設の規模や廃棄物の量に合わせて頻度を設定して専属ドライバーが収集に赴き、当日中に、契約している県内5カ所の中間管理施設に運搬しています。エコ事業部は、医療が行われる場で必ず発生する廃棄物を適切に収集する、いわば医療現場を支える縁の下の力持ちのような存在です。
メディカル事業部とタッグを組んで提案
医療現場へのリネンサプライサービスを展開する中で、医療廃棄物の収集委託にニーズを読みとり、当社は1990年にエコ事業部を立ち上げました。ワンストップでリネンと廃棄物の両方を依頼できる利便性、県内最大級の処分業者と取引実績があることへの信頼感、さらに、保管や処理についてのアドバイスや施設に応じた提案を評価していただき、着実に業績を伸ばしてきました。現在では、メディカル事業部とタッグを組んで新しい病院や施設に営業提案を行うなど、当社らしい取り組みも進めています。
また、廃棄物を収集まで安全に保管してもらうため、回収容器や段ボールスタンドの開発・販売も行っています。感染症廃棄物は形状別に、液状・泥状のものは赤色、固形状のものは橙色、鋭利な形状のものは黄色のバイオハザードマークが付いた密閉容器に保管してもらい、あらかじめ設定した日時にドライバーが収集する仕組みを作っています。
コロナ禍で急増した感染性廃棄物
医療廃棄物の中でも感染性廃棄物は、特別管理廃棄物として特に厳重な管理や対策が必要です。感染法上の一類・二類・三類・四類・五類感染症、新型インフルエンザなど感染症、指定感染症および新感染症の治療や検査に用いたものはすべて感染性廃棄物とみなされます。
新型コロナウイルスの感染拡大では、病院で治療に用いた器具や血液などが付着したシーツ、病衣などの廃棄物が急増した上に、これまで取引のなかった検査所やワクチン接種の大規模会場からの依頼が加わり、エコ事業部はフル回転でした。感染拡大は道路状況が悪化する冬期間に重なったため、毎日スケジュールやルートを検討しながら依頼に対応しました。この時の経験を新たなノウハウとして蓄積し、人々の健康や生活の環境の安全を守るために活かしていきたいと思っています。
医療現場の進歩とともに歩んでいきたい
医療や介護の現場は、季節や感染症の流行などの外的な要因によって大きな影響をうけます。また、医療技術や機器の進化によって、治療方法や使用する器具が変わり、安全についての法制度の制定や改定も続きます。そうした環境で仕事をする私たちは、常にアンテナを張り、新たな動きに敏感でなければならないと思っています。
ロボットによる手術が増えたら、遠隔治療が普及したら、未知の感染症が広がったら――どんなときも医療現場に関わり続けてきた当社だからできること、すべきことを考えていかなければなりません。当事業部では今は医療廃棄物の収集と運搬を行っていますが、「エコ」の範疇はもっと広いはず、新たな事業が加わっていくかもしれません。